なぜ、1年以上現金化されない売掛金が流動資産なのか

[要点整理]

 

・貸借対照表の「流動」「固定」の分類は、1年基準(ワン・イヤー・ルール)と正常営業循環基準の2つのルールが適用されています。
・正常営業循環基準は、「売掛金」「たな卸資産」などに適用されます。

 

1年基準(ワン・イヤー・ルール)と

正常営業循環基準との関係は?

 

貸借対照表の「流動」「固定」の分類においては、1年以内に現金化されるかどうかによる1年基準(ワン・イヤー・ルール)が適用されています。

 

しかしながら、これとは別に、正常な営業活動から生じる主要な資産(売掛金・たな卸資産)・負債(買掛金)については、1年以内に現金化されるかどうかにかかわらず、流動資産・流動負債とするルールも適用されているのです。

 

よって、2つのルールが混在しているため少々わかりづらくなってはいますが、単純に1年以内に現金化される資産・負債だけが流動資産・流動負債に記載されているわけではないということを頭の片隅にでも入れておくとよいと思います。

 

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売掛金流動資産の解説

 

貸借対照表の流動資産というのは、資産の中の1つです。流動資産には流動資産、固定資産、繰延資産の3つがありますが、この中の1つが流動資産です。

 

     貸借対照表
―――――――――――――――――
       |
流動資産   |負債
       |
―――――――|―――――――――
       |
固定資産   |
       |純資産
―――――――|
       |
繰延資産   |
―――――――――――――――――

 

流動資産というのは、簡単に換金できる資産(1年以内に)のことです。例えば、現金などのお金、商品や製品などです。ですから、流動資産が多いと、突発的なリスクに強いと言えます。では、流動資産が多いと、なぜ突発的なリスクに強いのでしょうか?

 

例えば、資産を1,000万円持っているAさんとBさんがいると仮定します。そして、資産1,000万円の内訳は、Aさんは現金900万円と株100万円、Bさんは現金100万円と土地(持ち家)900万円だったとします。この場合、もしAさんとBさんの家族が病気になり、手術費用が突然300万円必要になったらどうなるでしょうか?

 

まずAさんの資産はすべて流動資産です。ですから、突然300万円の手術費用が必要になったとしても、すぐに支払うことが可能です。

 

一方、Bさんの資産は1,000万円であることに違いはありませんが、流動資産は100万円しか持っていません。この場合、手術費用300万円が必要になったからといって、すぐに支払えるかと言えば、すぐには支払うことはできませんよね。もちろん、自宅を売却する選択肢もありますが、たいていの人は自宅を売却することは考えないと思います。

 

ですから、AさんもBさんも資産は1,000万円なのですが、流動資産をどれくらい持っているかによって、こうした差が生じてくるのです。上記のように、家族が病気になって手術費用が必要になったという突発的なリスクに対して、どのように対応できるかが変わってくるわけです。つまり、流動資産が多い方が、突発的なリスクに対して強いと言えるのです。

 

 

流動資産の種類は3種類あります

 

流動資産は、大きく分けると以下の3つがあります。

 

@当座資産
1年以内に換金できる資産(現金、預金、貴金属、受取手形、売掛金、株式...)

 

A棚卸資産
倉庫や店頭にある資産(原材料、仕掛品、製品、商品...)

 

Bその他の流動資産
現金化されない家主等への貸し(前払費用、仮払金、貸倒引当金等)

 

まず@の当座資産ですが、これは簡単に換金できる資産のことです。具体的には、1年以内に換金できるものです。この当座資産には、現金や預金、貴金属、受取手形、売掛金、有価証券(株式)があります。

 

次にAの棚卸資産ですが、この「棚卸し」の意味ですが、決算の時に倉庫やお店の中に、どれぐらい商品やモノがあるのか調べることを言います。

 

棚卸資産というのは、倉庫や店にある資産なので、例えば、商品を作るための材料や、商品を作り途中のものである仕掛品、製品、商品などです。ちなみに、製品と商品の違いについてですが、製品というのはあなたの工場であなたが作ったもののことを言います。

 

一方、商品というのは、他のところが作ったものをあなたの店で売るもののことを言います。具体的には、例えば、あなたがコンビニを経営していたとすると、コンビニの中にアイスとかスナック菓子があるはずですが、これらは商品になります。

 

他方、あなたがコンビニの中で、例えば、サンドイッチなどを一から作っていて、それを販売しているという場合には、それらは製品となります。

 

最後のBその他の流動資産というのは、家賃などを先に支払っている場合などです。わかりやすく言うと、家主への貸しで現金化されないものです。具体的には、前払費用や仮払金、貸倒引当金と呼ばれるものがあります。

 

重要なのは、流動資産には、@当座資産、A棚卸資産、Bその他の流動資産の3つの種類があるということです。

 

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売掛金と買掛金をわかりやすく解説します..

 

売掛金というのは、後で支払ってもらえるお金のことです。例えば、あなたが友人から「君のパソコン5万円で売ってよ」と言われて、あなたが「じゃ、明日渡すよ」と言って、あなたがお金を受け取るよりも先にパソコンを友人に渡したようなケースです。

 

あなたが先にパソコンを渡すと、友人から「パソコンありがとう、お金は後でもいい?今週中に支払うから」と言われ、あなたは「いいよ、今週中に5万円渡してね」と言ったとします。この場合「お金は後でもいい?」と「いいよ」というのが掛取引になります。売掛金というのは、このように掛取引を行って後で支払ってもらうお金のことを言います。

 

友人はあなたから先に商品のパソコンを受け取りました。そして、お金は後で支払うと言い、あなたは後日お金をもらうことになりました。こうして掛取引で、後になってもらうお金のことを「売掛金」といいます。つまり、お金を後日もらって、掛取引で後になってもらうお金のことを「売掛金」というのです。

 

この場合、友人は後日あなたにお金を支払わなくてはなりません。ということは、友人はあなたに対して借金をしているわけです。この掛取引における借金のことを「買掛金」と呼んでいます。

 

掛取引というのは、お金を後で支払う取引のことを言います。ですから、掛取引のことを「信用取引」とも言います。あなたが商品を先に渡して、お金を後でもらう、この方法は、後で手渡しかもしれませんし、クレジットカードか振込みかもしれません。

 

このように後でお金をもらう方法のことを「掛取引」と言うのです。掛取引というのは信用がなければできませんから、「信用取引」とも言うのです。

 

 

なぜ掛取引(信用取引)をするの?

 

商売をする上で、その場で現金の支払いを行っていると、都合が悪いからです。なぜかというと、毎回商売の度に現金を用意するのが面倒だからです。

 

例えば、大企業になると、材料の木材や鉄などを一度に大量に仕入れる場合があります。このような場合に、商品を受け取った瞬間にお金を渡すとなると、すごく大変ですし面倒ですよね。ですから、こうした掛取引(信用取引)を行っているわけです。

 

実はあなたの周りにも、こうした掛取引(信用取引)がたくさんあります。例えば、クレジットカードの支払いなどもそうです。あなたが、先にレストランなどでクレジットカードで支払いをするときというのは、あなたが先に食事をして商品を受け取っている状態だからです。

 

後になってクレジットカードで支払いをするというのは、それは信用取引の1つなのです。掛取引(信用取引)というのは、商品を先に受取り後で支払いをするということです。その時に、あなたが先に商品を渡した時は後でお金をもらえるので、後でもらえるお金のことを「売掛金」と言います。

 

お客様は、例えばあなたが先にパソコンを渡したとすると、お客様は後になってお金を支払わなければいけない、つまり、あなたに借金があることになります。こうして掛取引で発生した借金のことを「買掛金」というのです。

 

 

一年基準の注意点は?

 

一年基準を適用する場合、短期借入金と長期借入金については少し注意が必要です。一般的に銀行では、手形貸付や当座貸越は短期貸付、証書貸付は中期または長期の貸付けとされています。借りる側の企業もこれと同じ考え方で、短期借入金や長期借入金とする会計処理がされているのが一般的です。

 

しかしながら、借入金が長期か短期かというのは、一年基準で判断します。つまり、その借入金の返済期限が決算日以降1年以内かどうか、ここが重要なポイントとなります。

 

手形貸付でも、1年を超える返済期限のものはありますし、当座貸越であっても契約の更新が2年とか3年とかいう場合も稀にあります。そうすると、これらの場合は流動負債の区分の短期借入金ではなくて、固定負債の区分の長期借入金の区分にすべきでしょう。

 

ただし、手形貸付であっても、ずっと返済していないからということで、いわゆる経常運転資金で、手形貸付を返しては借りて、返しては借りてのような転がしをやっているものを長期借入金とする会計処理は間違いです。

 

手形貸付については、実際に実質的に借入れが返済されていなくても、銀行では更新や、先ほどの返して借り手の回収新規の扱いになっています。

 

さらに、手形には返済期日(期限)が記載されています。通常であれば、振出日から3か月あるいは6か月後ということになりますので、この場合には、短期借入金として処理上は正しいということになります。

 

また、長期借入金についても、決算日以降、2年間期限が残っている場合は、初めの1年間は短期借入金、1年以上2年までの期限1年間、これは長期借入金ということになります。

 

証書貸付についても、1年とそれ以降と分けて計上する必要があります。すべてを長期借入金として計上するのではなく、1年以内のものと1年以上のものにわけて考えるのがポイントです。

 

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